カテゴリ:妖怪( 9 )

 

ミニミニストーリー外伝2・・・・妖怪「見越(みこし)」

-前説-
妖怪シリーズ外伝2です。
前回、「ブルブル」を主役にしましたが、
今回は見越(みこし:見越入道(みこしにゅうどう)もしくは、
見上入道ということもあるようです)です。
もともとはメジャーな妖怪でした。

ここで詳しく書いてしまうと、ネタバレしますので、
詳しくは本編と、後解説で・・・
あ、またまた、怖くないですよ。
では、本編をどうぞ。

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-本編-
とりあえず今日も夕暮れの辻に立ち、
一人で来る旅人を待った。
辻(今で言う交差点)もしくは、旅人の歩く分岐点に
「ゾワリ!」と、立つ。
自分の仕事はそれだけだった。
今、「見越(みこし)」は考えていた。
「自分は何故そうするのか」 ということを である。

どうやら人から見ると、その立ってるだけの自分の姿が
どんどん大きくなっていくように見えるらしい。
その結果、人は自分を見上げ、怖がり、立ちすくむ。
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先日、「ブルブル」に会った。
奴は言っていた。「『役割』を見つけたのだ。」という。
「必ず意味があるのだ」とも・・。
なら、自分の役割や存在意義は、一体何なのだろう
そう思った見越は、どうしてもそれが知りたかった。
だから、怖がられても、また「ゾワリ」と立ち、
来る人をもっとよく見てみることにした。

それから時々、いつものように現れているうちに
気がついたことがあった。
自分に気づき、見上げて怖がるのは、初めてそこを通る人だけだった。
それも一人で来る者だけだ。
というより、それ以外の人は自分に気づいていないようだ。
もっとも、一人で、初めて来た者にも気づかれないことがあった。

「何故だ・・」・・わからなかった。
だが、そこに自分の求める答えがあると感じていた。

とりあえず、共通していることがあった。
必ず、自分が行くのは、辻や、分岐点だということだ。
それも関係あるのだろうか・・・・。

「見越」は、現れ続けた。自分の意味を知るために・・。
ある時、いつものように辻に現れた。
「ゾワリ!」
自分を見つけた人は、やはりいつものように驚き、怖がった。
でもその人を見て新しく気づいたことがあった。

その人はその後、「よし!」と言ったのだ。
それは人の言う気合というのだろうか、力強かった。
そして、急に恐れを振り切ったかのように、
自分をすり抜け、返り見もせずに歩いていった。
「ん?!」
そういえば、いつも人は驚き、見上げ、恐れる。
だが数瞬後は自分をすり抜けていく。

「!」
「見越」は理解した。
この辻から先は、初めて通る人にとって
知らない文化を持った場所なのだと。
自分のいる場所はその境目・・つまり「結界」だ。
だから通るには、心を落ち着けたり、気合を入れたり、という
「儀式」が、人には必要なのだと。

いたるところに分岐点のある人間には、常にそれを
乗り越えるための、ある種のエネルギーが必要で、
自分はその「結界」やら、「心の儀式」を表現するために
存在している・・。


つまり、かなり重要な存在なのだと理解したのだ。
そういえば自分は「ぬらりひょん」と並んで、
妖怪の親分だと表現されたことがあった。
そのときはその理由がわからなかったが、
それも、今はわかるような気がした。

目の前の知らない場所に圧倒されているときは、
そこが異常にでかく見えたりするのだろう。
ということは自分は人にとって未知の文化そのものでも
あるんじゃないのか・・。

また、だから初めてでも、心の強い人には必要ないのだと。

「見越」は満足した。
そして、その意味を誇りに思った。
だから、
次の日もまた、「ゾワリ!」と、辻に現れた。
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-後解説-
はい、ということで「見越」でした。
本来、辻、もしくは分岐点というのは
各地方の文化の交わるところだったんです。
そこでは色んな人が往来した。
人は異文化に遭遇したとき、どう思うのか・・・
そこに見越し入道が必要だった理由があると思うのです。

現代に置き換えてみると、
たとえば高いビルなどがないところの人が、
東京や大阪に急に出たらどうなるのか。
人工的な高層ビルや人の多さに
圧倒され、息を呑む瞬間があるんじゃないのか。
また逆に、都会に住んでいる人が、
民家のない森林や、本当の暗闇に出会ったときどうなるのか。
やはり、その空気の密度や、光のなさに圧倒され、
息を呑む瞬間があるんじゃないのか。
中には、その場から1歩も動けなくなる人もいるかもしれない。

その瞬間の心理描写を表すと、目の前にどんどんでかくなる
「『見越』がいる!」となるんじゃないか。

つまり、辻、分岐点、交差点というのは結界で、
それを破らないと、その中にいけない。
結界を破るために、新たな気持ちの決意、儀式が必要だった。

鳥山石燕の絵は、木にわらじがかかっています。
それは、いったんわらじを脱ぎ、気持ちも改めて
新たなところに行く事をあらわしているように思うのです。
これまで、はいていたわらじを、放り投げて気合を入れるという
一種の心の儀式が具現化すると見越し入道になるんじゃないのか。

と、僕は思うのです。

by brizu | 2006-07-13 14:35 | 妖怪  

根付 妖怪の根付なのだ。

2年位前に食玩として売られていた、
妖怪の根付・・・
もっと原色使ったおどろおどろしいのもあるけど
ここでは無難なのを2個紹介とします。
まずは「天狗」の根付
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それと妖怪シリーズでも出てきた「天上嘗め」の根付
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どちらも渋いのだ。
で、やっぱり、海洋堂の作成。
本当に色んなものを作っていてびっくりです。

by brizu | 2006-06-13 10:51 | 妖怪  

ミニミニストーリー外伝1・・・・妖怪「震々(ぶるぶる)」

前解説
はい、こんにちは
今回は視点をかえて、いつものシリーズではなく、
外伝ということで、書きたいと思います。
それは、「妖怪側から見たらどうなのか」ということです。
で、まずは、わりとポピュラーだけど、
忘れられている妖怪「震々(ぶるぶる)」の登場です。

今回も怖くありません。まったく怖くありません
では後ほどまた、お会いしましょう

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妖怪「震々(ぶるぶる)」は思っていた。
自分が何者なのかを・・。
何故ここにいるのかを・・。
そもそも、いつ自分が生まれたのかがわからない。
自分の父母をしらない。

気がつくと、なぜかそこにいたのだ。
暗闇や、空気がよどんでいる所に人が来ると、
そこに自分は、いた
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で、人の後ろで背中を少しだけなでる。
人は、背中を少しだけ動かす。

その動かす感覚がソーッとするとか、
ゾワゾワしたとかいうらしい。
最近の人は「ブルッた」などともいう。
つまりはブルブルするところから、
自分の名前は「震々(ブルブル)」と、付けられたらしい。
だが、人は振り返って、自分の顔を見てくれるわけではない。
「ブルブルー」と呼んでくれる事もない。
ならば、なぜ自分は人の背中を触っているのか?

他にわかんないのは、そういう「ぶるぶる」する感覚は
必ず一人じゃないということだ。
大量にいるらしい人間が、同じ時間にぶるぶる
する事だってあるはずだ。
ということは、自分は何人もいるのか?
もしくはどこにでもいるのか?

つい最近のことだが、以前からしっていた「釣瓶火(つるべび)」
と呼ばれる火の爺さんが、忽然と消えてしまった。
「釣瓶」というものが、今の人の住む家にはないらしい。
なければ消えるしかないということだ。

だから、うすうす、
人がいなければ自分はそこに呼ばれないし、
存在することもない、ということは感じていた。
それどころか、ブルっとするわずか、1,2秒しか
自分はその場に存在しないらしいのだ。

いつか自分も消えるのか。
何することもなく、ただ人の背中をなでて・・
でも、それだけなら、なんでそこにいるのかがわからない。

あっ自分が消えていく。
消え・・
フッ。

また気がつくと、今度は
子供の後ろにいた。
少し暗めの学校のトイレの中だ。

さっき、確か自分は何かを考えていたはずだ。
どこにいたのかは覚えていないが、誰かをさわったような気もする。
だがそのことは今度は気にならなかった。
背中を軽くなでる。
子供が、少し動いた。
そして自分がきえていく。
消える瞬間、さっき思っていたことを思い出していた。

自分は消える。だがすぐどこかに表れる。
なぜか?
ただ「ブルッ」とさせる。
そのために現れる

ブルッとすることで、人は少しだけ緊張から解けるらしい。
ということは、緊張をほぐすという役割をもらっているのだ。

そう、悟った瞬間、「震々」は満足した。
「それで、いい」と・・。
そして、また、消えた。

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後解説
はい、またお会いしましたね。
エー実は随分はしょりました。
もっと長かったんですが、よけいわかりにくくなっちゃって。

で、ブルッとくる瞬間ってありますよね。
あれは、脳というか体の緊張をほぐす役割を持っているらしいんですね。
怖かったり、何かを感じたりすると、脳や体が緊張するんですね。
でも、人間は動く動物ですから、動かなくてはならない。
そこで、ブルっとさせて、動ける状態にするらしいんです。
怖いのがとれるとか、感じなくなるとか言うことじゃないですよ、
とりあえず、動ける状態にするんですね。

ということは、この「震々」は大事な役割を持っていることに
なりますね。
なので、自分は何者か?、何故いるのか?ということに
答えは出ないけど、役割を持っているということ、
そこに満足してまた次のところにいったんです。

ね、妖怪はこわいだけじゃないでしょ。
ちゃーんと意味をもっていたりするのです。
長いのを読んでくださって、ありがとうございます。^o^

   *)絵は鳥山石燕 百鬼夜行図より

by brizu | 2006-05-31 16:25 | 妖怪  

鬼太郎のジュースだぁ・・妖怪番外編

昨日、横浜みなとみらいのアットへ・・
L.L.Beanでポロシャツをみたあと、
2Fまで降りて、変わったお菓子などを置いてある店
をのぞいたら、
発見! 鬼太郎のジュース缶だぁ。
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売っていたのは
「ねずみ男汁」に
「目玉の親父汁」に
「妖怪コーヒー」
のみたい雰囲気は浮かんでこない。
この企画物、おもわず手が出て、
2つ買ってしまいました。

が、中身はというと
ハッサクのジュースとか普通のコーヒーとか・・。
まぁ、あたりまえだけど。

妖怪好きを自認する僕は、
おさえておかなくては
と思い買ってしまったが、
家のものは、あきれた顔をしておりました。。^^

by brizu | 2006-05-15 09:24 | 妖怪  

ミニミニストーリー4・・・・妖怪「えんえんら」

始めの解説
久しぶりの妖怪シリーズです。
このシリーズに初めて「女性」が登場です。
モデルは特にありません。
今回登場するのは「えんえんら(煙煙羅)」です。
その名の通り、煙の妖怪です。
4作目に突入。これで前振りが終わりです。
の、予定ですが・・あくまで未定です。
今回は文体も少し変化を付けました。

それでは、よろしければ、ごゆっくりどうぞ。
_________________________


亜佐美は帰る支度をしていた。
ちょうど、同僚の深草真一と秋山雄吾の立ち話が聞こえてきた。
クダンとか網きりとか言っている。
何を話しているのかは、まったくわからない。

特に興味があったわけでもない。
まっすぐ帰ろう・・。

コンビニで弁当を買い、家に帰ると、窓を開け、
風呂のボタンを押し、とりあえずタバコに火をつける。
メンソールの細いタバコから一口煙を吸うと、ようやく人心地だ。
いつものそのパターンを繰り返し、鏡の前で化粧をおとす。

その後、テーブルに向かうと、
「フゥー」 と、深いため息を一つつき、
弁当のラップをはずした。
タバコをせわしなく消す。
これもまたいつものパターンだ。

テレビをつける。
流行らしいお笑い芸人がコントをしていた。
「今日も変わり映えのしない一日だなぁ・・」
思わず独り言をついていた。
恋人が欲しいと思ったこともある。
が、こちらからモーションをかけようと思ったことはない。
元来、相手が男性に限らず、積極的に話しかけられるタイプではないのだ。
人より少し整っている顔立ちだが、目立つ化粧をするほうでもない。
つまりは、「暗い」のだ。
音楽を人並み以上に聴いたりもするが、
それを誰かと共感しようとも思わない。
同僚の秋山などは、根暗女と思っているに違いない。
それが証拠に事務的な話しかしてこない。

弁当を食べようとしたとき、横の灰皿に目が行った。
煙が出ている。先ほどちゃんと消えてなかったようだ。
なんだか少し煙が多い。あわてて消そうとしたその時、
「ザワッ」
家の中に風が吹いた。煙が揺れた。
窓から風が入ってきたらしい。
その煙が天井の方でさらにゆらぐ。
一瞬、煙の先端が顔に見えた。
「エッ?」。
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「〇△×☆・・・」。
口が動いたように見えた。
その動きは
「かわるよ」といったようにも「おわるよ」と言ったようにも見えた。

「エッ!」。さらに驚く。
亜佐美は目を凝らした。
一瞬の後には顔は消え、タバコの煙が揺れているだけだった。
「今の何???」。
だが二度となにも起こらない。
「気のせいかぁ」。
心持ち大きめの独り言になった。

「あぁー疲れているのかなぁ」。
亜佐美は食事も急いで済ませ、風呂に入った。

部屋の窓から出た煙は、もの言いたげに、
しばらくたゆたっていたか思うと、おもむろに消えた。
・・・・
___________________________________________________________________
終わりの解説
ということで、いかがでしたでしょうか。
普通に煙を見ても、なんとなく一瞬人の顔に見えたりすることは
あるでしょう。その様子を不思議に感じ妖怪としたのでしょう。
煙羅煙羅(えんらえんら)とも呼ばれるこの妖怪は
ゲゲゲの鬼太郎にも登場します。

えんえんらは、やはり人に危害をくわえたりしません。
絵に皮肉や苦笑を持ち込む鳥山石燕も、この絵には
含みを持たせていないようです。
ただ、この時代で大きな屋根と、庭があり、庭には松が植えられ、
それを見下ろして、少し笑い、まさに煙として消えていく。
それは庶民の悲哀が含まれているかもしれません。

いずれにしても、
ただの煙でも神秘性を感じ人格を持たせたなんていう
日本人の感性がステキじゃないですか。
これもまた、愛すべき妖怪の一人です。

さて、クダンを感じ、天井なめをみた深草に
網きりを思い出した秋山、そしてえんらえんらの、亜佐美
彼らは今後何に巻き込まれていくのでしょうか・・・。
乞うご期待です。
(ってほとんど期待されてませんが、そこはそれでも進めます。。^^)

今日の解説はこの辺で。

by brizu | 2006-04-20 14:57 | 妖怪  

ミニミニストーリー3・・・・妖怪「あみきり」

<初めの解説>
人気は今一だけどこの妖怪シリーズ・・またまた出しちゃいます。
実は妖怪は人間そのものの心象だったり、世の中への
皮肉であったりするんですね。そこが憎めない存在を
生み出している源だと思うんです。で、今回は「あみきり」
3回目ですが、前々回、前回からつながっています。
では、ごゆっくり、どうぞ。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
まだ3月初めだというのに、やけに蒸し暑い夜だ。
「だるいし、早く帰ろう」。
いつもより少し早めに会社を出た。
駅をおりて、線路沿いの道を、家に向かう。

「どん」  何かが後ろからあたった。
・・「ぎし」  左側から、こするような音。
「ん、ん?」  周りを見回してみたが何もいない。

気のせいか・・・最近、疲れ気味だな。
そう思い、また歩き出した。
ん?なんかバランスがおかしい。
違和感を感じて左をみると、かばんの肩紐が半分以上切れて、
落ちそうになっていた。
「今、何かに引っ掛けたのかな?」
ところが、切り口がまっすぐ刃物で切ったようになっている。
「えっ?な、なんで?」
さっきのは、通り魔か?
だが、ここは一本道。誰かが身を隠せるスペースもない。
そして、人の気配もなかった。

そういえば、同僚の深草(ふかくさ)と昼に行ったとき、
あいつ急に立ち止まってボーっとした後、「クダン」とかつぶやいていたよな?
何故、今、深草のことなど思い出したんだ?。
そうそう、あいつのことよりカバンだ。買ったばかりなのに・・・

・・・「ぎし」  またあの音だ。
そして何かが一瞬、光った。「・・・あみきり」
え?あみきり?「あみきり」ってなんだ?
それになんで、そんな単語が頭に浮かんでくるんだ?
・・・・・・・

気がつくと、家にたどり着いていた。
だが、今のは一体なんだったのか?
思いついて子供の頃の妖怪の本を引っ張り出した。
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あった。
使ってもいないのに、網や綱が切れていることがあり、
それは「あみきり」という妖怪の仕業だという。
鋭いはさみを持ち、海老のような体をしている。

カバンの肩紐の切り口、あの音、一瞬の光、
ふと思い出した「あみきり」と言う名前。
何かが・・・・・・何かが、起こった・・いや起こっている。

                       つづく(たぶん つづく)

----------------
<ミニ後解説>
はい、どうもぉ。前説に続いて、またまたブリズでございます。
本日は「あみきり」さんにおいでいただきました。
「また来てくださいねぇ」
今、手のはさみをギシギシ言わせながら帰って行かれました。

そして、今日、わかりましたね。
あの「クダン」の会社員、そう「天井嘗」の会社員です。
苗字が「深草」というんですね。また、同僚のところにも怪異が
起こり始めました。どうなるんでしょうね。
僕にもわかりません。

さて、この「あみきり」という妖怪。実はよくわかんないんです。
鳥山石燕の絵には登場していますが、出自がわかんない。
文献とかにもあまり出てこないんですね。僕が知らないだけかも
しれませんが・・。ただね、人間には、直接 危害を加えないんです。

おそらく、漁師さんなどが網を点検したときに、切れているところが
あり、そのまま妖怪になったんじゃないかと・・。妖怪さんのせいに
すれば誰も傷つかずにすむ。
また、その、人のせいにする人間を皮肉っているのかもしれません。
つまり、この「あみきり」とは、
「人間の心の自浄作用、もしくは保身のために生まれたものじゃないか」
と、僕は思うのです。      長くてゴメンナサイネ。

絵:鳥山石燕 百鬼夜行図より

by brizu | 2006-03-15 15:25 | 妖怪  

ミニミニストーリー2・・・・妖怪「天井嘗」

なんだか寝付かれない。
最近、どうも睡眠不足だ。
そう、先日、同僚と歩いていて、変なことがあってからだ。
なぜか「クダン」なんて妖怪を思いだしてからだ。
午前2時、ようやく眠れそうになってきた。

「ネチャ!」
・・・・・・
「ヒタ!」
・・・・・・
妙な音が聞こえた。
夢か?
今、俺は寝ているのか?
朦朧とした中で、よくわからない ・何か・ の気配を感じた。
ベッドで薄目を開けてみた。
「ズオォォォォ・・」
明らかに・何か・がいる。

「ズオォォォォ・・」
・・・・・・
ひどくゆっくりと、その・何か・が、動いていた。
一体何だ?
電気の消えた部屋の中で
ボォーっと薄光りしたものが天井に張り付いている。
俺は夢を見ているのか?
「ズゥゥワァ!」
長い舌のようなものが動いている。
全体が見えてきた。
異様に痩せていて、平べったい髪型、
細いの顔から長い舌が覗く。
そして上半身は裸・・・・。これは・・
これは・何だ?・・

何故か、不意に思い出していた。
人の居ないときや、寝静まった夜に現れ、
天井を長い舌でペロペロ嘗め、シミを残す
天井嘗(てんじょうなめ)という妖怪がいるという。
人に気づかれないようにあらわれる筈なのに・・。
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まて、何故、俺は知っているんだ???

不意に、天井に張り付いている「者」が振り向いた。
・・・・目が・・・合った・・・・。
・・・・・・。

その瞬間、すべてが消えていた。
あわてて、枕もとのライトをつけた。
もとの自分の部屋だった。
時計は午前3時をさしていた。

あのとき、
あの、一瞬目が合ったとき、
その「者」は一瞬、にやっと笑ったのだ。
いや、笑ったように見えた。

この前の時といい、
何かが起こっている。
俺に「何か」が起こっている。
妖怪を見るような経験もこれまでなく、
興味もさしてないはずのに、
意味不明な出来事にあったり、
その名前を不意に思い出したり・・。

わからないことが、起ころうとしているに違いない。

「クダン」も今の「天井嘗」も
何かの前触れのような気がしてならない。

                         つづく(いつか、つづく)

---------------
<ミニ解説>
はい。というわけで、
今回は、「天井嘗(てんじょうなめ)」さんにご登場いただきました。
「あ、ありがとう、車に気をつけて・・」
今、消える前に手を振ってくださいました。
とても良い方です。。^^

えー、流れ的には、ウサギのあと妖怪というのは
良くないかと思いましたが、あえてぶつけてみました。

さて、面白い話があります。
館林藩の御家中に田中勇之進という侍がいて、
これを捕まえたというのです。
で、城の中の高い天井に、蜘蛛の巣が張られたので、
嘗め取らせたという逸話が残っているのです。
もちろん造話でしょうが、かわいそうなことです。

そういえば、
最近の家はないかもしれませんが、天井を見上げてみると、
慥かに、変な形のシミがあったりします。
もちろんそれは論理的な理由がありますが、
古の人は、天井嘗めという妖怪を生み出す
心の余裕のようなものがあったのですね。

家の天井を、夜中にそっと見上げてみてくださいね。
天井嘗めがいるかもしれません。
怖くはありません。友達になればいいのです。

絵:鳥山石燕 より

by brizu | 2006-03-08 15:30 | 妖怪  

ミニミニストーリー1・・・・妖怪「件(クダン)」

昼近くになり、同僚と、いつもの街を歩いていた。
その時、
ザワッ!
何かの音に、ふと気がつくと、
光のあまり届かない薄暗い場所にいた。
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「ん?ここはどこだ?」
異空間に紛れ込んでしまったのか??
「オイ!」
「・・・・・・・・」
隣にいた同僚の姿がない。

何かの気配に横を見ると、
すごい数の、鳩に似た気味の悪い鳥が、
地面に向かって何かをつついている。
だが、音が聞こえない。
そうだ、さっきの音の後、何も聞こえてこない。
「ここは、なんだ?」
振り返ろうとしたが後ろを見ることができない。

そういえば、件(クダン)という妖怪がいるという。
人の顔と牛の体を持ち、戦争や大惨事が起こる前に突然表れ、
その予言をするらしい。
予言を聞く者の前に現れるとき、突然暗くなり、
人語で予言をすると、クダンは死に、
元の明るさに戻ると言う。

「待て、何故こんなときにそんなことを思い出したのだ」。
”しかもクダンなんて・・・・”
ザワッ!
目の前の空間が揺れた。
’何かが・・・何かが、来る!’
薄暗く見えないはずなのに、
その’何か’が見えてきた。
あれは・・・

「お前、何やってんだよ?そんなとこでボーっとすんなよ。早く昼行こうぜ!」
いつもの同僚の顔と、青空の場所に戻っていた。
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と言うわけで、最近、本当に晴れることも少なく、薄暗く・・
こちらは今日も冷たい雨です。サミシー ! >o<
妖怪だって、きっとつまらないだろうと・・・
よって、すこしだけ、以前の写真を使った、お遊びでした。
ちなみに、今回出した、クダンという妖怪は、
あまりメジャーではないかもしれませんが、
今昔物語にも登場する、古い妖怪です。
無理やり今回ご足労をお願いしました。
ただ、現れる時、暗くなるというのは今回のみの脚色です。

あ、前回、コケという地味な話題に、
意外にも多くのコメントをいただき、すごくうれしかったんです。
ありがとうございました。

by brizu | 2006-03-01 13:34 | 妖怪  

♪カラン、コロン、カランカラン、コロン♪

横浜でも夜の路地は
こんなに不気味なんですよぉ。
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妖怪があの先からのぞいてますよぉ。
「ぬりかべ」がいたら通れなくなっちゃいますね。
「狐火」が出たら腰がぬけますね。
「豆腐小僧」だったら、少しかわいいか・・
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「ひょうすべ」だったら・・って関東にはいないか
「ぬらりひょん」だったら、とりあえずサインをもらおうかな。
ん?だんだん変になってきた。
妖怪大好きなもので・・

とりあえず、携帯だと街灯の明かりだけで
こんなにもやっとしてるから
かえって不気味に写るもんですねぇ。

この表題はみなさんわからないかな?
大好きな漫画のいやいや、アニメの主題歌だったんだけど・・・^^。

by brizu | 2005-11-29 09:54 | 妖怪